マルセイユでの初の寄港を振り返る
5月12日から16日まで、オーシャン・アンド・クライメート・オデッセイの地中海キャンペーンの一環として、Race For Waterチームは一般市民、学校団体、政策立案者、企業に対し、海洋と気候のつながりや、海上輸送の脱炭素化の重要な必要性について啓発するため、マルセイユに初の寄港を行いました。
300人以上の訪問者が、Race For Waterの新しい大使船であるMODX 70(ゼロエミッションで騒音のないカタマラン)に乗船しました。また、マルセイユ市庁舎で開催された2つの公開カンファレンスを通じて、さらに多くの人々が海洋に関する課題について学ぶ機会を得ました。
マルセイユ寄港の振り返りにフォーカス
|「プラスチック:集団自殺か?」というドキュメンタリーをめぐる映画ディベート
5月12日(月)の午後6時から7時30分まで、ドキュメンタリー映画「プラスチック:集団自殺か?」をめぐる映画ディベートが開催されました。この映画は、私たちのプラスチック依存と、それが健康や環境に与える影響を浮き彫りにしています。上映には約30名が参加しました。
その後、映画制作に関わり、また多くの映像や証言が収集された前回のレース・フォー・ウォーター・オデッセイにも参加したカミーユ・ロラン(Camille Rollin)氏と、約1時間にわたる活発な議論が行われました。
|若い世代の意識向上を目的とした教育ツアー
今週は、約200人の生徒が、彼らのために特別にデザインされた、楽しく、参加型で協働的な教育プログラムに参加しました。
最初に、オーシャン&クライメート・オデッセイの目的や、ポシドニア・ミッションの主要な課題を紹介する2本の短編映画が上映され、プログラムへの導入が行われました。その後、カミーユ・ロラン氏の案内のもと、「オーシャン・コラージュ」カードゲームを使ってグループでの振り返りが行われ、海洋が提供する多くの生態系サービスや、現在直面している脅威について学びました。
次に、生徒たちは、キャプテンのラファエル・ランボ氏と乗組員のエミリー・ギャロ氏の案内で、MODX 70のガイドツアーに参加しました。このツアーでは、クリーンかつ持続可能な航行を目指して設計された革新的な双胴船を体験することができました。
さらに理解を深めるため、生徒たちは「オーシャン・コラージュ(The “Ocean Collage” )」と「レ・プティ・デブルイヤール(Les Petits Débrouillards)」による体験型ワークショップに参加し、海洋と気候の密接なつながりについて学びました。最年少の参加者たちは、最後にアート活動として、海に捧げる美しいイラストメッセージを制作し、体験を締めくくりました。
5月15日(木)には、教育ツアーと並行して、CM1〜CM2(小学4〜5年生)の約100人の児童が、ドキュメンタリー映画『ポシドニア(Posidonia)』の特別上映とその監督であるネリー・カールス(Nelly Kars)氏とブリュノ・ランベール(Bruno Lambert)氏とのディスカッションに参加する貴重な機会を得ました。
|海上輸送の脱炭素化に特化したセミナー
5月13日(火)、海上輸送の脱炭素化に特化した特別セミナーが開催されました。このイベントは、大使船MODX 70の船上で行われ、マルセイユを拠点とする専門家や海事分野の変革を先導するパイオニアたちが一堂に会し、革新的な技術的・戦略的ソリューションを共有しました。
このセミナーには、マルセイユの海事関係者約10名が参加しました。革新的なプレゼンテーションや実際の体験談を通して、海上輸送の脱炭素化の緊急性が強調され、すでに実現されているソリューション(貨物帆船、インテリジェント・ウィングセイル、太陽推進、そして水素および水素生成技術など)が紹介されました。
目的は?技術的パフォーマンスと海洋保全の両立です。これは、よりクリーンで持続可能かつ人間らしい海事の未来に向けた、非常に刺激的で深い探究の時間となりました。詳細については、完全版レポートをご覧ください。
登壇者:
- マルコ・シメオニ(Race for Water財団 会長・創設者)
- クリストフ・マドロル(南仏地域圏 海事委員会委員長)
- フランク・ダヴィッド(Ocean Développement エグゼクティブ・ディレクター)
- コロンバン・モニエ(ENSM財団 会長)
- ジャミナ・ウデ・カスヌーブ(協同組合HISSEO共同創設者)
- ニコラ・アンベール(GREENCROSS エグゼクティブ・ディレクター)
- ジャン・ギヨン(AEROFORCE エグゼクティブ・ディレクター)
完全版レポートはこちらからご覧いただけます。
l ポシドニア(海草藻場)の保全の重要性を伝える朝のカンファレンス
5月15日(木)、エスパス・ヴィルヌーヴ=バルジュモンにて、ポシドニア(地中海の海草藻場)に関するカンファレンスが開催されました。このイベントは、一般市民にこの貴重な海草藻場の保全の重要性を伝えることを目的とし、さまざまな講演者が登壇しました。
開会の挨拶では、マルセイユ副市長のエルヴェ・マンション(Hervé Menchon)氏が登壇し、気候変動への取り組みにおける地域での行動の重要性を強調しました。
続いて、カミーユ・ロラン(Camille Rollin)氏がRace for Water財団と、そのポシドニア保護ミッションについて紹介し、この水中植物の保護活動への取り組みを説明しました。
シャルル=フランソワ・ブドゥレスク(Charles-François Boudouresque)氏の講演では、ポシドニアが海と気候の密接なつながりを象徴する存在であることを参加者に理解してもらい、ポシドニアの保全が気候レジリエンス(気候変動への適応力)のためにいかに重要であるかが強調されました。
その後、ネリー・カールス氏とブリュノ・ランベール氏が監督したドキュメンタリー映画『ポシドニア(Posidonia)』の特別上映が行われました。この海洋とスポーツの冒険を描いた作品は、観客に強い感動と大きな関心を呼び起こし、多くの質問が寄せられました。
最後には参加者との活発なディスカッションが行われ、海洋生態系保全への共同の取り組みが改めて確認されました。
l 第3回国連海洋会議(UNOC)の一環としてニースでの2回目の寄港
Race for Water は、2025年6月2日から4日まで、ニースにて2回目の寄港を行います。MODX 70 は「海の驚異の艦隊」の一員として、第3回国連海洋会議に参加します。
ジェネラシオン・メール(Génération Mer)探検クラスターのメンバーと連携し、さまざまな海洋問題についての意識を高めるための教育プログラムが提供されます。各メンバーの取り組みを紹介するとともに、共同活動や補完的な市民向け普及イベントを通じて、海洋保全への関心を高めます。
ニースでの寄港プログラムの詳細は、こちらをご覧ください。